「頼んだものと違う」はなぜ起きるのか。Web制作の認識ズレを防ぐ進め方
Webサイトの制作を外注したとき、いちばん怖いのは「出てきたものが、思っていたのと違う」ことだと思います。お金も時間もかけたのに、イメージとずれている。直してもらおうとすると追加で費用がかかると言われる。あるいは「それは最初に言われていません」と返ってくる。
発注した側からすると、これはかなりの痛手です。そして、こうなる原因は、発注者のセンスや説明の下手さではありません。ほとんどの場合、進め方の問題です。
恥ずかしい話ですが、私自身、駆け出しの頃はこのズレを何度も起こしていました。今日はその反省も含めて、「なぜズレるのか」と「どうすれば防げるのか」を、依頼する側の視点で書いてみます。
「イメージと違う」は、だいたい進め方のせいで起きる
私が安く・早く請けていた頃は、この手のトラブルが本当に多かったです。要件が固まらないまま「とりあえず作り始めて」、出来上がってから「思ってたのと違う」となり、追加料金の話になって気まずくなる。「言った・言わない」も日常茶飯事でした。
当時を振り返って思うのは、そもそも認識を合わせる「土台」がなかったということです。価格だけで選ばれ、価格だけで選ぶ関係だと、お互いに「この人とちゃんと作り込もう」という前提が薄い。だから、ふわっとした合意のまま走り出して、最後にずれる。
つまりズレは、能力以前に「進め方と関係性」から生まれます。逆に言えば、進め方さえ整えれば、ほとんどは防げるということです。
私がやっている、ズレを防ぐ仕組み
今は、次のようなことを徹底しています。特別なことではありませんが、これをやるかどうかで結果がまるで変わります。
とにかく、全部を文字に残す
口頭やチャットで決まったことは、その場の空気では合意できていても、1ヶ月後には双方の記憶がずれています。だから私は、
- 打ち合わせは議事録にまとめて共有する
- 作るものは要件定義・仕様書の形で文字にする
- やり取りは、できるだけチャットやメールなど文字で残る形にする
- それらを Notion やスプレッドシートで一か所に集約する
ということをしています。最近は議事録を Markdown でさっと作って、それをAIに整理させてから共有することもあります。要は、「言った・言わない」になりようがない状態を先に作ってしまう。後から揉めないための、いちばん地味で確実な保険です。
「言いなり」にならないことも、ズレ防止のうち
意外かもしれませんが、ご要望をすべてそのまま実装するのも、実はズレの原因になります。
昔の私は、言われたことをただ全部やる姿勢でした。でもそれだと、「ご要望の言葉どおり」には合っていても、「本当に達成したかったこと」からはずれていく。だから今は、いただいた要望の裏にある目的を確認して、必要なら代替案を出すようにしています。ダメだと思うものは、理由を添えてそう伝えます。
「やりたい」というお話が出たときほど、一歩引いて「それは何のためですか」と確認する。これは反対するためではなく、ゴールを一緒にそろえるためです。プロとして提案できる相手のほうが、結果的に失敗しません。
窓口を一つにしておく
これは私の体制の話でもありますが、やり取りの窓口は一人に固定したほうがズレません。 担当が複数いて伝言ゲームになると、それだけで認識は枝分かれしていきます。「これは誰に聞けばいいんだ」が発生しない状態にしておく。情報の出入り口が一つなら、記録も一本化できて、抜け漏れが減ります。
発注する側が、先に決めておくといいこと
ここまでは作る側の話ですが、依頼する側が少し準備してくれると、ズレはさらに起きにくくなります。丸投げより、最初だけ一緒に手を動かすイメージです。
- 目的を一言で:「何のためのサイトか」(採用を増やしたい/問い合わせを増やしたい等)。デザインの好みより、これが先です
- 避けたいことを伝える:「これは嫌だ」という方向は、好みを語るより認識がそろいます
- 参考サイトを2〜3つ:好きな例だけでなく、「これは違う」という例もあると精度が上がります
- 社内の決め方を決めておく:最終的に誰がOKを出すのか。これが曖昧だと、後から関係者が増えて手戻りします
完璧にそろえてから来てください、という話ではありません。これらは打ち合わせの中で一緒に整理していけます。ただ、頭の片隅にあるだけで、立ち上がりが大きく変わります。
まとめ
- 「イメージと違う」は、能力よりも進め方と関係性から生まれる
- 防ぐ側の基本は、全部を文字に残す/言いなりにならず目的をそろえる/窓口を一つにする
- 依頼する側も、目的・避けたいこと・参考・決裁者を先に意識しておくと、ぐっとずれにくくなる
サイト制作は、作り始める前の「すり合わせ」で、出来上がりの大半が決まります。逆に言えば、そこを丁寧にやってくれる相手かどうかが、外注先を選ぶときの一つの見極めポイントになると思います。
納品して終わりではありません。サイト公開後も相談できる制作者をお探しの方は、まずはお話をお聞かせください。